こんにちは、小石川です。
先日、Forbesの「米国の一族の資産ランキング」についてお話しました。
米富豪一族ランキング1位の総資産額が、日本円にすると約25兆4000億円という額に驚愕でした。
このような資産ランキングや長者番付は毎年とても気になりますよね。
ちなみに、2020年の日本の長者番付では、柳井正氏(株式会社 ファーストリテイリング)、孫正義氏(ソフトバンク)、滝崎武光氏(株式会社キーエンス)が上位3名だったそうです。
柳井氏と孫氏はメディアや新製品発表の場で目にすることがありますが、滝崎氏についてはご存知ない方も多いのではないかなと思います。
今回はキーエンスという会社についてと創業された、滝崎武光氏の戦略から資産形成について学んでいけたらと思います。
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最強のセンサーメーカーである「株式会社キーエンス」
株式会社キーエンスは、ファクトリー・オートメーション総合メーカーです。
「”今まで世の中になかった価値を生み出し続ける”ことで、世界中のものづくりを支え、進化を加速さえる存在であり続けたい」という思いのもと、国内のみならず46カ国220拠点におよぶグローバル展開している企業です。
(引用)株式会社キーエンス ホームページ「About Us」
主に工場向けのセンサーメーカーということで、一般の方の目に止まることはあまり多くありません。
しかし、日本や世界の工場などで多くのキーエンス製品が使われています。
その結果として、資産形成にも重要な「企業の時価総額」や「生涯年収」ランキングでは上位にランクインしています。
1.2020年時価総額ランキング第3位
1 トヨタ自動車(株) 26兆円
2 ソフトバンクグループ(株) 17兆円
3 (株)キーエンス 13兆円
4 ソニー(株) 13兆円
5 (株)NTTドコモ 13兆円
6 日本電信電話(株) 10兆円
7 (株)ファーストリテイリング 9兆円
8 任天堂(株) 9兆円
9 中外製薬(株) 8兆円
10 日本電産(株) 8兆円
(参考)時価総額上位:株式会社ランキング(Yahoo!ファイナンス)2020年12月19日時点
2.2020年生涯年収ランキング第2位
1 M&Aキャピタルパートナーズ 13.4億円
2 キーエンス 7.3億円
3 日本商業開発 6.8億円
4 ヒューリック 6.4億円
5 三菱商事 5.9億円
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15 ファナック 4.6億円
会社としても、社員の待遇としても、日本のトップレベルに位置しています。
特に生涯賃金では、メーカー第2位が総合15位のファナックになりますので、圧倒的な独走状態という結果を作っています。
嶋村吉洋氏も真似をする「メディアには頼らない」戦略
実は滝崎氏については、以前嶋村氏から「憧れる経営者の1人」として話を伺ったことがあります。
嶋村氏自身がメディアにあまり出ないことについて私が質問したとき、「メディアに頼る必要がないから」という回答が返ってきました。
その後、詳しく尋ねるとメディアに露出する、しないに関しても嶋村氏からすると、「憧れの滝崎さんを真似しているだけ」とのことでした。
滝崎氏のようにメディアに露出することをあえてしないことで、そこにかかる広告費や時間を別のところに集中させると経営判断をしているのだと教えていただきました。
私の中では「社長=メディア露出」という当たり前のように思っていたのですが、滝崎氏や嶋村氏のようにメディア露出せずとも、世の中に価値あるものを提供し続けている経営者はたくさんいるようです。
さらに滝崎氏と嶋村氏に共通しているように感じたのは「徹底した合理主義」であること。
合理主義というエピソードについては、以前キーエンスで勤めていたという方も書かれていました。
キーエンスは、徹底的な秘密企業。
本も出してないし、社長が講演で話すなど一切ないし、BtoB企業のために、一般消費者に名前を売る必要がない。
外部に、キーエンスの儲かる仕組みや戦略などは、一切出してないのだ。
CMすら、出さない。無駄なモノは一切排除しているのだ。
唯一、CMに出るのは、就活のシーズンのみ。
カンブリア宮殿(テレビ東京)に社長が出演した時も、社内の人達は騒ぎだっていたくらい、マスコミにも登場したがらない。
この時の出演も、すべては、リクルート戦略のため。
僕自身も、カンブリア宮殿に社長が出ていたときは、驚いたけど、キーエンスのことだから、絶対に理由があるはずと思ったら、聞いたら、リクルートの時期だからとはっきり言っていた。
(引用)謎めいた上場企業、キーエンス社員の平均年収日本1位の秘密は、徹底されたマーケティング(LEVERAGE)
このような話を聞くと、キーエンスは徹底した合理主義の企業だと思いがちですが、実は社員を大切にしている企業でもあります。
仕事とプライベートを両立することを大切にしてほしいとの思いから長期休暇は年3回設けられていたり、給料は日本でもトップクラスだったり、「社員は資産であり、経営者はその社員を大切に扱うべきだ」という滝崎氏の格言からも社員を大切にする姿勢が伝わります。
なぜキーエンスがこれほどの結果を出せるのか?「ニーズ」と「直販力」で勝負する戦略
顕在ニーズを解決する技術開発力
キーエンス製品の特徴は「競合他社にはない機能を必ず付加して商品化する」ということです。
一人勝ちの状況を創り続けているわけなので売り込むのでもなく、「ニーズに応える」という商売の基礎基本を高い次元でやっているだけなのですね。
ニーズ自体も顕在化されていない段階で、悩みや課題から発見する能力も一人ひとりの社員は高めているのだろうと思います。
しっかりした直販営業体制
自社の商品を営業マン自身がしっかり説明できるようにするため、直販営業体制が採られています。
また、自社の営業マンが話を聞くことによって、その中から顕在ニーズを見つけ出す機会も作り出されています。
1つの工場や会社で解決したニーズを横展開する文化もあるため、圧倒的に勝ち続けているのです。
【まとめ】最強の戦略は「人を大切に」
株式会社キーエンスの組織文化で特に大切にされているのが、先ほどの徹底した合理主義であることだそうです。
新人の意見であっても論理的であれば耳を傾けたり、年功序列ということに縛られていない社風であったりするようです。
滝崎氏は「成功したものは、自分の力だけではなく、周りに支えてくれた社員がいたからこそのものだ」とおっしゃっています。
徹底した合理主義だからこそ、「人を大切にする」という商売の基礎基本に重きを置いているのでしょう。
私もいつか「社員が資産」と心から言えるような状態を作りたいなと思いました。
以上です。